西新宿に、丹下健三が設計した高さ約235mの新宿パークタワーが立つ。高さの違う三つの塔が並び、その39階から52階がホテルである。エレベーターで41階に上がり、ガラスの屋根の下で竹林に迎えられるところから、地上を離れる滞在が始まる。
公園に向かって下がる、三つの塔
新宿駅の南口から西へ歩くと、超高層ビルの街並みの先に、三つの塔を束ねたビルが見えてくる。新宿パークタワーである。丹下健三・都市・建築設計研究所の設計で、1994年4月に竣工した。地上52階、高さは約235mある。
三つの塔は、高さがそれぞれ違う。北へ向かって階段状に低くなり、隣の公園との一体感を生むように計画された。塔の頂には、それぞれ三角屋根が載る。高層ビルを一本の柱として立てるのではなく、三つの塊に分けて空に段差をつけた。
パーク ハイアット 東京は、このビルの39階から52階を占め、1994年7月9日に開業した。ロビーにあたる受付は41階にある。エレベーターで上がり、41階で初めてホテルが始まる。
超高層ビルの上のホテルは、どうしても「ビルの一部」になりやすい。下の階にはオフィスがあり、人の流れも騒がしい。その条件のなかで、ホテルはどうやって地上の喧騒から離れるのか。これがこの記事の問いである。
ガラスの頂と、竹林
答えの一つは、塔の頂の使い方にある。41階のピーク ラウンジは、三つの塔のうち最も低い塔の頂部にあり、2層吹き抜けのガラスのアトリウムに覆われている。アトリウムとは、ガラスの屋根を架けた吹き抜けの大空間のことだ。その中に、竹林が植えられている。
地上41階の高さで、客を最初に迎えるのが竹と空の光である。エレベーターを降りた瞬間に、外の街との距離が生まれる。三つの塔に分けた丹下の構成が、ホテルにとっては頂の庭を複数持てる条件になっている。
高層ビルの三角屋根を、屋根裏ではなく、明るい庭として使った。
ビルの構造は、地上部が鉄骨造である。客室は42階以上に並び、最上階の52階にはレストラン「ニューヨーク グリル」がある。47階には長さ20mのプールがあり、ガラスの壁に囲まれて街を見下ろすという。
内装を手がけたのは、インテリアデザイナーのジョン・モーフォードだ。ラウンジや客室は落ち着いた暗い色調でまとめられ、蔵書2,000冊以上のライブラリーも設けられた。外から見える丹下の幾何学的な塔と、内側のモーフォードの静かな空間。二人の仕事が重なって、高層ビルの上に別の世界をつくった。
DNAを変えずに、つくり直す
ホテルは2024年5月に休業し、約19か月の改修を経て、2025年12月9日に再開業した。改修を監修したのは、パリのStudio Jouin Manku(パトリック・ジュアンとサンジット・マンク)である。
- 1994新宿パークタワーが竣工し、ホテルが開業4月竣工、7月9日開業
- 2024改修のため休業5月
- 2025約19か月の改修を経て再開業12月9日
改修では、ほとんどの部分を新しくしながら、開業時のデザインの「DNA」を残すことが方針になった。ニューヨーク グリル、梢、スパとフィットネスのクラブ オン ザ パーク、ライブラリーは、開業時のデザインに戻された。ピーク ラウンジは竹林を残し、オリジナルの大理石の色味を生かしている。客室は黒に近い色調を保ち、象徴的な緑の絨毯は明るい色合いに改めた。
客室は177室から171室になった。広さ85㎡の「パーク スイート」が新たに設けられ、原宿や明治神宮の方角を望む。41階には、アラン・デュカスと組んだ新しいレストラン「ジランドール by アラン デュカス」が開いた。
泊まるなら、夕方に41階のピーク ラウンジに入り、ガラス越しの光が昼から夜へ変わるのを竹林の下で見届けてほしい。翌朝、同じ場所で、朝の光の入り方とも比べたい。日帰りの利用では見られない、頂の庭の一日の変化である。
丹下健三と、西新宿
丹下健三は、1964年の国立代々木競技場で知られる、日本の戦後建築を代表する建築家だ。西新宿には、1991年に開庁した東京都庁舎も丹下の設計で建っている。
都庁舎と新宿パークタワーは、どちらも丹下の晩年の超高層である。行政の中心として天に伸びる塔と、公園に向かって段を下げる塔。同じ建築家の二つの超高層を、地上と頂の両方から見比べられるのは西新宿ならではだ。
ここで見る、三つのこと
- 141階 ピーク ラウンジの竹林最も低い塔の頂、2層吹き抜けのガラスの下に植えられた竹。夕方から夜へ、光の変わり方を見届ける。
- 252階 ニューヨーク グリル開業時のデザインに戻された最上階。三つの塔のいちばん高い頂から、41階のラウンジとの高さの違いを体で感じる。
- 3ライブラリー開業時のデザインに戻された、蔵書2,000冊以上の部屋。モーフォードの内装と改修の「DNA」を確かめる。
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パトリック・ジュアン(Studio Jouin Manku)、Design Anthology「Reopening Park Hyatt Tokyo」より(編集部訳)



